8月の共同通信世論調査 – 無意味な数字遊び

共同通信が、いつものごとく無意味な世論調査を行い、どの新聞もその内容をトップ記事で報道しています。この種の調査は、単なる数字遊びに過ぎず、国民の真の声を反映しているとは到底思えません。それをトップ記事で報道するマスコミもきっと政治と同じく自浄作用がないのでしょう。

調査の欠陥

まず、電話による調査方法自体に大きな問題があります。固定電話や携帯電話を使用するこの手法は、特定の層にしか届かず、偏った結果を生み出しています。若者や仕事で忙しい人々の声は、ほとんど反映されていないのです。

私も電話が掛かってきたことがあります。1回真面目に答えましたが、コンピュータ音声を全部聞かないと選択肢が分からないので、とにかく時間が掛かります。暇な人間しか答えられません。

また、調査の前提条件が「聞かれている内容にきちんとした知識をもっている」という質問の仕方です。聞かれている内容が分からない人は、適当に答えます。人の心理として「分からない」とは答えたくないですからね。結果は、中学生と高校生の回答とほとんど同じものになると思います。実際、どこかの大学の研究(大学生の卒業論文でよい)で試してくれないだろうか。

質問の不適切さ

岸田内閣を支持しますか、支持しませんか。

岸田内閣のした仕事を知っている人は回答者にどれだけいるの?マスコミは、常に政府を悪者にした報道をしますから、それしか見ていない人は「支持しない」になります。公平に聞くのであれば、「岸田内閣は、〇〇ということを実施しました。〇〇ということが問題となっています」という事例を紹介してから、支持・不支持を聞かなければいけないでしょう。

あなたは、どの政党を支持しますか。

自民党・立憲民主党・日本維新の会・公明党・共産党・国民民主党・教育無償化を実現する会・れいわ新選組・社民党・参政党・みんなでつくる党・その他の政党・政治団体

これだけの政党があることを回答者が知っているわけがありません。まして、それぞれの政党がどんな政党か・党首は誰かは、よほど政治に興味がある人でなければ知りません。知名度の高い順に並んでいるだけです。時間のない人は、3番くらいまでで回答をボタンを押してしまうでしょう。「分からない」や「支持政党なし」を最初の選択肢にして、結果を比べてほしいものです。

岸田首相の退陣についてどう思いますか。岸田首相の退陣が自民党の信頼回復のきっかけになると思いますか。

どのマスコミのニュースの論調(選ばれる御用聞きの評論家)が「退陣しろ」だし、「退陣しても信頼回復は遠い」だから、適当にニュース見てる人は悪い方に引っ張られますよ。

あなたが総裁選で議論してほしい課題は何ですか。

景気・雇用・物価高対策、年金・医療・介護、子育て・少子化、政治とカネ、外交・安全保障、行政・財政改革、原発・エネルギー、地域活性化、憲法改正

選択肢が恣意的です。国民の一番の関心は、「所得の向上」です。所得の向上に欠かせないのが「減税」です。年金・医療・介護にの充実には「増税」です。税についての選択肢がないのは、新聞社が軽減税率という毒饅頭を食っているので、話題にしたくないのでしょう。もちろん、選択肢の内容を理解して回答している人は少ないでしょうが…。

次の自民党総裁にふさわしいのは誰だと思いますか。

石破茂・加藤勝信・上川陽子・小泉進次郎・河野太郎・小林鷹之・斎藤健・高市早苗・野田聖子・林芳正・茂木敏充

ただの知名度調査です。簡単に人物紹介をしてほしいものです。増税派か減税派かだけでもいいです。選択肢の順番も大事ですよね。これは五十音順です。だから、石破茂がいつも1位になるのではないでしょうか。

次の衆院解散・総選挙はいつごろまでに実施するのがよいと思いますか。

政治日程を説明して、初めて選べる内容です。これを聞く意図が分かりません。

次の衆院選の比例代表ではどの政党に投票するつもりですか。

政党支持率とほぼ同じになるに決まっているではないですか。多少増減するのは、支持政党なし、無回答の人が、多少、どこかの政党を選ぶだけです。質問考えている人の意図を説明してほしいです。

結果の解釈の危険性

最も問題なのは、この意味のない調査結果を基に、メディアや政治家が大げさな解釈を行うことです。支持率の数パーセントの変動を「大きな変化」と報じ、政策決定の根拠にすることさえあります。これは民主主義の健全な発展を阻害する危険な行為です。

真の民意とは

本当の民意を知りたいのであれば、より深い対話や多様な意見交換の場を設けるべきです。SNSやオンラインフォーラムなど、現代の技術を活用した新しい形の意見集約方法を模索する必要があります。8月の共同通信世論調査は、時代遅れで無意味な調査の典型例です。このような調査に惑わされることなく、私たち一人一人が自分の頭で考え、真の民主主義を実現していく努力が求められています。

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